東西南北七並べ

すき焼き

シン・エヴァンゲリオン劇場版AVANT1(0706版) 雑感と考察

 

 

 

圧倒的火力の映像を見せつけられると人は完全に沈黙してしまうんだよな。
そんな10分40秒でした。
ようやく整理がついてきたので雑感を箇条書きで残しておきます。
私なりには前提として
・新劇世界は旧劇からの年表上地続きかつ世界AとBに分岐している
・世界Aは物質状態が旧2015年相当に再生され、全てが上書きされた状態でスタートしているN周目
・世界Bは旧劇後黒き月内にいた者だけが再生した状態で続いている世界
・つまり世界B人類(ネルフ関係者と戦自、一部民間人)は記憶を保持している
・序破は世界Aの話、ニアサードインパクトにより世界Bと交差し、Qは世界B(=シンなる世界)に視点を移している。
とおいています。
ここに至るまでの考察は長いので割愛します。ネットの海にもある程度落ちてますし、まぁ王道な推論でしょう。

 

・特報が特報してた
嘘予告だのなんだの言われてきましたが、これにより今までの予告も嘘ではなかったのでは、と逆説的に証明される気がする。そもそもエヴァ考察は「提示されている情報にはすべて意味があり、明確に否定されない限りは全て真として扱う」という性善説的な見地に立つわけなので、今一度そこに立ち返ることになります。登山ゲンドウやリナレイやら胎動するエヴァ8号機やらに向き合え。結局Q予告をはじめとした「空白の14年」が明かされることで全てのピースが嵌る構造上、こうしてぼかす手法を取らざるを得なかったのでしょう。結果としては「予想以上の効果を上げたぞッ!」なわけで、やはり天才か……


・マリと8号機
8号機はAAAヴンダーを操縦する長良との連携重力制御に変更されています。見た目はバンジージャンプ。Qの段階で時空間制御により艦隊を釣ってたし何故エヴァは釣らないのか?と思ってましたが長良の熟練度の問題でしたね。EVA44A航空特化タイプを吸着して投げ飛ばしているあたり部分的な重力制御も出来るのかもしれません。
一方、一般的に群生体は指向性が非常に強いため単純に8号機につっこんできただけ
と捉えることも出来、Qの4C戦と同様の処理をしているだけな気もするので暫定。またQから引き続きATフィールド使ってないのも気になるポイント。ATフィールドが無い第13号機の秘密(腕4本=合体機体)をマリはいち早く見抜いていたことから、自身も同様の存在であるとする仮説が強くなってきています。
つまり、
・「何人にも侵されざる聖なる領域」であるATフィールドは単体でないと使用できない
・第13号機はおそらくは10号機、11号機の融合個体であり、単体ではない
・同様にマリないし8号機もATフィールドを使わないことから融合個体説が浮上
貞本エヴァより、マリはゲンドウたちと同世代なのに若さを保っている
・以上からマリはアダムス等、リリンでない存在と接触し、融合体となっている(旧劇ゲンドウ君の対となる存在)
あたりでしょうか。
やや後半はファクト不足感が否めないのであれですが。
また、マリのいう「自分の都合」が何なのかに関して、今回シンジへの執着が描写されており、性格として未来を見ているということから、「過去(ユイ)を追い求め、世界や自分の魂さえも犠牲に払うゲンドウ」と「ユイの見た未来(シンジを含む子供たちが健やかに生きていける世界)を目指すマリ」という対比が見えるような感じもありますね。マリとアスカがなんらかの血縁上の関係を持っている説も含めるとシンジとアスカを結び付ける、までがマリの願望かもしれません。

・北上の成長
ただの甘ちゃんゆとりだった北上が立派にオペレーションしてる…
すいません、それだけです。


・44A:ドローン
「44」なのは仮面が2つだからでしょう。
4A~4Cと異なり初号機カラーリングではなくなったのでネーメズィスシリーズではない可能性。その場合定義としては
ネーメズィスシリーズ…世界Aから転移させた4号機を世界BでNERVがバラして製造。
44A~4444C:「インフィニティのなり損ない」をバチカン条約で禁じられた軍事転用化を通じて製造。
となりますね。Qでインフィニティたちが加工されていたシーンが綺麗に繋がってきました。Qは無かったことになるとか言ってた主義者は息していますでしょうか。44Aのみインフィニティ要素が見あたらなく、かつ44AのみATフィールドを使用しているのが気がかりですね。

・44B:エヴァ電池
「全身がコア」と化しているインフィニティのエネルギー利用。
エネルギー問題、解☆決(横ピース)

・4444C:陽電子
ヤシマ作戦を原案に製造されている。
「冬月副指令に試されている」というたった一言で、冬月ーリツコの関係性描くのはエヴァという世界観の深さが成せる技。また冬月といえば将棋好きなことから試されている内容としてはこの局面をどう打開するかであり、戦法としては「44Aを囮に使い4444Cまで同筋で直線陣形を構えて乱れ撃つ」型から「雀刺し」で間違いないだろう。
この場合リツコに求められているのは「受けきること」であり、その判断が盾→陽動→差し返しの展開につながっている。


・ローアイアス(物理)
艦隊を使ったまさかの多重防御陣。
第六の使徒を超長距離射撃で粉砕する陽電子砲を高々戦艦で防げるのかと思ったが見返すと船底がヤシマ作戦での零号機の盾でできていたので納得。


・刺し穿つ死棘の塔
エッフェル塔は武器。
シン・ゴジラでの無人在来線爆弾と同じく、人のスケールでは武器とは思えない建造物を、ウルトラスケールで捉え直して活用するという庵野監督の特撮スピリットがいかんなく発揮されている。パリ・JAPANEXPO会場は相当盛り上がったそうな。そりゃそうだ。街の象徴で街を守る、これ以上の喜びはない(オタク)


・マヤとリツコの関係性
公式レズっぷるで肉体関係も示唆されているこの2人(出典:エヴァ2)ですが、14年を経たからかその関係性はsolidな空気感に。リツコのねぎらいにも無反応なマヤ、TVシリーズや序破からは想像できなかった。どうしてこうなった?の考察が以下の2つ。

①単純に強くなっただけ節
「弱音を吐くな!」前のWILLEスカーフアップが印象的。
オペトリオのなかで唯一オペレーターから整備長へと転じているマヤ。
現場の理不尽や厳しさに揉まれることで、WILLEを支えているという自負心が自立を促しているのでは?

②男にいった説
「これだから若い男は」→逆説的に年上の男はOKということに。
若くない男でマヤにアプローチ行きそうな人といえば、加持さんですね。空白の14年に加持さんが何をやっていたか、今どうなっているかが依然として大きな布石となっています。

 
・L結界~コア化の修復
今回の情報としてはこの辺が非常に大きいですね。L結界濃度が高いと酸素が薄くなるのは新設定ですが重要性は不明。コア化は純粋なエネルギー体のはずなので新陳代謝的に酸素が必要とも思えず……

またコア化は中和復元可能、これ宇宙戦艦ヤマトですね。
「辿り着いた場所が彼に希望を教える」の希望は式波アスカか加時さん、あるいはその両方との再会では説がありましたが、世界を壊した罪に対する懺悔と償いを求めるシンジにとっての希望を考えるとこのコア化を修復する力であると考えてもいいでしょう。

封印柱には使徒封印紋様がもりもり使われています。
式波アスカが封印された柩やQアスカ(惣流)の眼帯、DSSチョーカーなんかにも用いられていたこの紋様ですが、今回人外の力であることが判明。設定上、人外となればSEELEか第一始祖民族なわけで、そもそも使徒の始祖たるアダム・リリスとそれを封じる術(ロンギヌスの槍)を送り込んだ第一始祖民族の力をSEELEが解析してわからんなりに落とし込んだ封印様式と捉えると繋がります。
旧劇でも両刃剣作れてましたしねSEELE。N回目の蓄積によってあの様式までたどり着いたのかも。「今作でエヴァを完結させる」のであれば、この辺の設定まで丁寧に拾ってくることもありえなくはない…?(歓喜)


・マリと8号機②
「細工は流々」というマリのセリフ、意味としては「いろいろなやり方」なわけで、これは完全に企画書最終話の「たったひとつの、冴えたやり方」との対比ですね最高です(旧作↔シンエヴァ)
今回の新劇場版が企画書プロット(=本来の構想)とある程度似通ったストーリーになっていることを考慮すればそこからの脱出と、真なる完結を目している庵野監督からのアプローチである、捉えても良いのでは。
これを新キャラであるマリに言わせるのがまた熱いですね。


・ニコイチ弐号機とオーバーラッピング対応型8号機
8+2号機の前にもう一度それぞれ単体で建造しなおすんでしょうか。
エヴァ改2号機(=X2号機=12号機)が旧劇2号機と新劇2号機で建造されている説に立つと他に使えそうなエヴァといえば……まさかMark.06?

・16年ぶりのパリ
14年と2年前にリツコはパリに行っているという情報。
何のために?
ユーロNERVの視察?
4号機の情報を開示しないほど敵対していたのに?
これもQリツコは世界Bのリツコであると捉えれば納得はいきます。
TV版では各国NERVはほぼ形骸化している存在なので。
そして……

・JA2
はいまさかのジェットアローン。庵野秀明は想像のはるか彼方をかっとんでいきました。これにて世界B確定です本当にありがとうございましたと言いたいところ。
JA改の雄姿をエヴァ2で見届けた方、どのくらいいるんでしょうね……
カヲル君の言う「希望は残っているよ、どんな時にもね」がまさかお前かあああああああという一番の衝撃でした。ちょっともうこれ本当に集大成にしようとしている感がびしばし伝わってきていて何にも言えなくなるくらいには感慨深い。

 


心の赴くままに書いたので何のまとまりもないですが
いずれにせよ死ぬほど期待していますし、その期待を悠々と超えてくることが確信できたのでもう何も怖くないです。わずか10分40秒の映像からですら、TV版漫画版はもちろん、ナディアやトップといったガイナ作品、エヴァ2、企画書などなど庵野監督の人生すべてがつながってくると感じられたので、一人のオタクとしてせめて予習だけは完璧にしなおして臨むのが礼儀だと感じました。
カラーの皆さん、演者の皆さん、製作に関わる全ての皆様に、ありがとう(フライング)