東西南北七並べ

すき焼き

2019年ベスト作品集

 

総括というか各ジャンルのベストを整理しました。

今年の世に出た作品のみが対象です(厳密にはあれですが)
SF当たり年すぎて幸せ~な一年でしたね。

 

 

TVアニメ

「荒ぶる季節の乙女どもよ。」

araoto-anime.com


夏クール作品、原作脚本:岡田麿里
高校の文芸部に所属する女子たちが、性に振り回されていく物語。
脚本、作画、演出、音楽、演技全てがハイレベルで、圧倒的に2019No.1でした。
大っぴらに扱われることの少ないJKの性への興味や欲求を様々な角度から描写していくわけですがとにかくテンポが良くキャラが活き活きしている。
本郷ひと葉が可愛すぎるんだよな。
笑いあり泣きあり青春あり百合ありシリアスありのフルコンボなので2018No.1の「宇宙よりも遠い場所」が面白かった人は見て損はしないと思います。

 

「ケムリクサ」

kemurikusa.com
冬クール作品、原作監督:たつき
記憶喪失の青年わかばが、少女たちと共に進みながら世界の謎を解き明かしていく物語。
けものフレンズ」でセンセーショナルを巻き起こしたたつき監督による、過去作の再構成作品。ゆるい作風と不穏な空気感の合わせ技や緻密な伏線とキャラ描写は依然として健在でGood。EDへの引きや要素の撒き方など、とにかく先を見たいと思わせる力が群を抜いている。それでいてやっていることは超王道の構成なので完全に才能としか……
新作?も楽しみですね。


漫画


ハイスコアガール」(完結)

hi-score-girl.com
最終巻3月発売。作:押切蓮介。リンクはアニメ版ですが原作がおすすめです。
ゲーム以外脳無しの主人公ハルオが、ゲームを通じてヒロイン大野との因縁に決着をつける物語。いやぁ終わってしまいましたね。ミスミソウや焔の眼もいいけどやっぱりここに戻ってきてしまう。約8年に渡る(途中であれこれあったが)連載を経てアニメ化もされたゲーマー垂涎のラブコメです。アケゲー、格ゲー界隈を通ってない人が触れて面白い作品なのかはわかりませんが純粋に演出としてもシナリオとしても実在するゲームがはっきりと埋め込まれたラブコメの中では(私の狭い見識の中では)最高傑作だと思っています。
前半はひたすらノスタルジックで空気感自体が幸せなのに小春出現により一気に物語は加速し戦国陸上のように画面端間で恋心を往復させられる展開はオタクに10割確定すぎる。
スピンオフも確定したが果たして救済なるか……?

 

無能なナナ」(続巻)

www.ganganonline.com
5巻7月発売。原作:るーすぼーい×作画:古屋庵
"人類の敵"と戦う能力者が集う孤島で、主人公にして無能力者のナナが能力者を殺していく物語。
車輪の国、向日葵の少女」「G線上の魔王」などで知られるるーすぼーい原作による連載作品。人類の敵=能力者として殺害指令を受けるナナ。某上条さんのような無能力詐欺ではなく本当に能力を持たないナナはハッタリと機転でひたすら任務をこなさくてはならないという所謂ハードモード主人公ものに氏得意のどんでん返しやトリックが加わり非常に面白い。本人も初めこそキリングマシーンですが、殺害対象である能力者たちとの触れ合いの中で徐々に心が芽生えていくという王道もまたよし。
法月のとっつぁんや浅井京介を彷彿とさせるようなキャラもいてファンサービスも感じるし、ノベルゲーをそのまま漫画にしたようなスケールがその道のゲーマーにはよくハマるのでお勧め。



「なめらかな世界と、その敵」

www.hayakawabooks.com
8月発売。作:伴名練。
「SFへの限りない憧憬が生んだ奇跡の才能」と称される氏の初短編集。
NFで名前を伺ったことがあったので読んでみたいとは思っていたところにこの短編集が出ると聞き急いで予約したもんですが、完全に正解でした。(氏は京大文学部卒)
古今東西のSF作品を取り入れながらもそれを新たな境地へと温故知新する表現力は
まさしく奇跡の才能だと感じます。どの短編も全く違った切れ味なのにハチャメチャに面白く、それぞれが映画化できるのでは?というレベルに脱帽。
「美亜羽へ贈る拳銃」が個人的にはエモエモのエモでした。


映画(アニメ)

※HF、復活は信者補正あるため除外


スパイダーマン:スパイダーバース」

www.youtube.com

3月公開。脚本:フィル・ロード&クリス・ミラー。
スパイダーマンとなったマイルスが、突如現れた異世界スパイダーマンと共に世界を守る為戦う物語。
脚本・演出・表現がずば抜けた、近未来のアニメーション作品。まず画面がとにかくおしゃれ過ぎる。CGアニメに手書き要素を組み合わせて昇華させること自体は死ぬほど試されてるけど、アプローチにUSAみが強くてジャパニーズオタクにはいい意味で非常に新鮮。脚本としてはヒーローものが抱える、「主役ありき」の世界観に一石を投じる構成が見事。加えて吹き替え声優陣のハマり方が尋常ではなく、こればっかりは吹き替えが正義。散々オカリンオカリン言われてたピーター・B・パーカーがとにかく良いキャラしてる。
普段アニメを見ない人にも勧められる稀有な作品。

 

「プロメア」

www.youtube.com

5月公開。監督:今石洋之×脚本:中島かずき
消防隊の新米隊員である主人公ガロが、炎を操る新人類バーニッシュの首魁リオと魂をぶつけ合い、その先を目指す物語。
天元突破グレンラガン」「キルラキル」のタッグによる新作の時点で勝ち確でしたが、案の定激熱フィクションとして劇場を燃やし尽くし、今も脅威の延焼ロングラン上映を続ける名作。スパイダーバースがグローバルアニメーションだったのに対し、
このプロメアがジャパニメーションの極地として成立したのが業界の構図としてとても良い。常識や定石を無視した外連味たっぷりの破天荒さを設定・表現・演出・脚本と至る所のベースとして敷いた上で各々が魂を燃やし尽くした結果異常にでかいドリルが出来るみたいな作り方、最高すぎる。堺雅人をはじめとした熱演や散りばめられたパワーワードも世界観を燃やすのに一役も二役も買っており、一点突破のフィクションで中島かずきの右に出る者はいないので、これからもざかざか新作を作ってほしい(祈り)
余談ですが滅殺開墾ハードコア上映はオタクなら見て損はないです。
体験価値に対する影響度、映画においては画面より音響の方が圧倒的にでかいので……


HELLO WORLD

www.youtube.com

9月公開。脚本:野崎まど×監督:伊藤智彦
主人公堅書直実が、同級生の一行瑠璃と恋人同士になるため、物語(セカイ)に抗う物語。
2019No.1映画です。興行収入が評価に追いつけていないのがあまりにも辛い。

予告見て、「あーそういうやつね」って思うじゃないですか。違うんだなこれが。やつはその斜め上を行く古今東西のSFエッセンスを投入したうえで、メインとしてのストーリーを成立させながらもノベルゲーム的な手法で脚本自体にセカイを組み込んだ名作。セカイ系が1つ先に進んだと言っても過言ではない。練りに練られたシナリオと、それを2019年の時代感に色めかせる脚本、というか野崎まどが見事。
ここまででも50000000兆点なんですが更に敗北ヒロインと百合を盛ってくるスピンオフが存在し、こちらで更に倍率ドンなのが本当にずるい。とにかくネタバレされるべきでない作品なのでSF好きや考察好きには鑑賞を強くお勧めします。観たうえで、「これってあの作品のオマージュだよね」と語り合いたいタイプのやつです。


映画(洋画)


「THE GUILTY」

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2月公開。監督脚本:グスタフ・モーラー
緊急通報指令室オペレーターの主人公が、電話の音声だけで誘拐事件を解決しようとする物語。
人間の想像力と思い込みに否応なしに向き合わされる、脚本の勝利型作品。本筋はもちろん誘拐事件でありながらも、様々な背景が絡まりだすことで主人公、事件、あるいは作品自体への印象が大きく揺れ動いていく構成が絶妙すぎる。寄せては返す波のように、見えないはずの罪の影が見え隠れする感覚は独特で一見の価値ありです。

 

映画(邦画)


「凪待ち」

www.youtube.com
6月公開。監督:白石和彌
石巻で心機一転を図るも毎日を無為に過ごす主人公が、次々と綻んでいく灰色の日常の中でもがく物語。
愚者達の喪失と崩壊、そしてほんのわずか垣間見える再生の兆しを描いたサスペンス/ヒューマンドラマです。灰色の日常に纏わりつく閉塞感、湿り気を帯びた田舎の港町、震災を経て終わるものと始まるもの。それらに溶け込み、あるいは荒れ狂う香取慎吾の闇。「凪」は誰に、どこに訪れるのか。

邦画の味わい深さが丁寧に詰められた良い作品でした。


ゲーム(コンシューマ)


「十三機兵防衛圏」

13sar.jp

11月発売。ATLUSヴァニラウェア
破滅の運命に抗うため戦う十三人の少年少女達の物語と、その向こう側の物語。
これも古今東西のSFを昇華させた作品なわけですが、その手法と熱量がとにかく尋常ではない。同じような作品はおそらく後にも先にも現れない、空前絶後の物語と言えます。個人的に「ゲームでないと出来ないこと」をやってる作品が大好きなんですが、これも御多分に漏れずそのタイプです。十三人それぞれの視点から物語を追っていく追想編、機兵に乗り込んで防衛戦に立ち向かう崩壊編、散りばめられた伏線をアーカイブした究明編の3パートに分かれ、それぞれが相互に絡み合います。
「そもそもなぜ戦っているのか」「どういう時系列なのか」「この関係性はどう育まれたのか」「そもそもお前は誰なんだ」といった謎が物語を進めるごとに襲いかかり、正直止め時を見失うレベルの没入感。
いきなりロボットに乗せられて戦わされるのってこんな戸惑いなんだな…という実感から、全てを理解し覚悟を決めて戦いに望むまでの成長を、主人公たちと共に経験できる構成。
プレイヤーキャラの視点によって印象が変わりながらも一本に収束するシナリオ。
郷愁へと誘うグラフィックやサウンドといった演出全般。
本当に全てが狂った作り込みです(賛辞)
それでいて所要時間は30時間程度と恐ろしくとっつきやすいボリューム。
これは買うしかありませんね、はい。


ゲーム(PC)


「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?2」

qruppo.com

7月発売。Qruppo。
「誇り高き童貞」橘淳之介たちが転移してしまった、かつて廃止されたはずの「セッ久を推奨するドスケベ条例」がいまだ適用された異世界からの帰還を目指す物語。
18年に発売され、未だかつてない作風から伝説となったぬきたしの続編。抜きゲーの皮を被った燃えゲーであった初代から路線は踏襲しつつも、初代での敵サイドだったSSトップスリーをヒロインに据え、マイノリティとジェンダー論を深く扱うことでより世界観に深みを増した。例によって頭のおかしい下ネタやパロディ、パワーワードも更に強化され、完成度としては個人的には10年代作品の中でもで5本の指に入るレベルと言える。畔美岬というキャラクターを生み出した倉骨氏は天才。
ぬきたし1の体験版やってみて笑ったら購入推奨です。
Qruppo、絶対アホ程伸びていくブランドだと思う。


ライブ


「犬フェス!」

aniuta.co.jp
2月開催。FlyingDog10周年記念ライブ。
これを上回るフェス、ありえ無いでしょという強すぎる出演者と全曲シングルというバカみたいなセットリストが合わさり最強になってしまったフェスでした。円盤でないかなぁとオタクたちは今もわんわん吠え続けています。

 

「スピラ・スピカ」

www.youtube.com

ツアー随時。
2月ごろに出会い、結局年間で4回参戦しました。
疾走感あふれる曲たちがめちゃいいのは勿論、とにかくライブパフォーマンスが良い。
まー元気をしこたま注入されるので会社の福利厚生に導入してほしい。
幹葉のMCがほんに癒されるんじゃ…


楽曲


「ハルトキ~Spring Moment~」

www.youtube.com
4月発売「9-nine-はるいろはるこいはるのかぜ」OP曲。歌:米倉千尋×作曲:堀江晶太
2019年No.1エロゲソングですね。
曲としてはピアノ主体でロックに寄せた「world's end,girl's rondo」といった感じ。軽やかでありながらもヒロイックなメロディが耳に残って中毒性高いです。というか9-nine-シリーズ、外れ曲無さすぎるんだよな……
積んでいるので4作目の出る20年4月までに追いつきたい。

 

「紅蓮華」

www.youtube.com

7月発売。歌:LiSA×編曲:江口亮
江口にしては珍しく和風曲かつシンプルな構成ですがいつにもましてメリハリが強い編曲により鬼滅の刃の世界観とも完璧にマッチした楽曲となりまぁそりゃ売れますわという仕上がり。随所のエレキが気持ちいいんじゃ~
紅白おめでとうございます。

 

「Phantom Joke」

www.youtube.com

10月発売。
シュガーソングとビターステップ以降音源買っていませんでしたが恐ろしい曲を引っ提げてきましたねありがとうございます。ストリングス多用しがちな型月の世界観にUNISON?大丈夫か?という一抹の不安もありましたがふたを開けてみれば異常なベースと異常なドラムと異常なギターと異常なボーカルが揃って異常な難度の曲をやり、至極当然の最高が発生しました。スリーピースの音圧じゃないでしょこれ……
そして願わくばオフボ音源を…

 

 

今年の反省としてゲームに割と注力したせいで漫画・小説・楽曲の開拓が浅くなってしまったことが挙げられますが、時間は有限である以上どうしたものかと…
まぁしかしながら20年も既に映画は豊作確定しているのでどんなときにも希望は残っているものですね。引き続きゲーム月1本、映画月3本、ライブその他イベント月1本くらいのペースで味わいながら健康で文化的な最低限の生活水準をクリアしていきたい所存です。
おすすめあれば教えてどうぞ。


おわり